麦の穂の風にゆれたつ音聞ゆ
     雀つばくら啼きしきるなかに

 うちわたすこの麦畑のゆたかなる
     さまをし見れば夏たけにけり

 熟麦のうれとほりたる色深し
     葉さへ茎さへうち染まりつつ

うれ麦の穂にすれすれにつばくらめ
    まひをりて空に雲雀群れ啼く

 刈り麦を積みあふらせて荷車の
    ひとつ行くなりこの野の路を

 たち寄れば麦刈にけふ出て行きて
      留守てふ友が門の柿の花


    昭和55年4月27日除幕
    静岡県裾野市佐野285ー1 
              鈴木浚一邸